AGA治療薬フィナステリドについて
AGA治療薬のひとつに「フィナステリド」があります。
これからAGAの治療を始めようと検討している方のなかには、耳にしたことがある方も多いのではないでしょうか。
本記事では、AGA治療薬のフィナステリドについて以下の点を中心にご紹介します。
- フィナステリドとは
- フィナステリドの副作用
- フィナステリドの購入方法
- フィナステリドの併用禁忌
AGA治療薬のフィナステリドについて理解するためにもご参考いただけますと幸いです。
ぜひ最後までご覧ください。
AGA治療薬フィナステリドとは
フィナステリドは、AGAの治療に有効とされる成分のひとつです。
薄毛や抜け毛の進行を抑制する効果が期待できるフィナステリドは、発毛を促進する効果が期待できるミノキシジルと並んで、AGA治療の場で多く用いられています。
日本皮膚科学会が定める「男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン（2017年版）」では、AGA治療薬としてフィナステリドの内服を推奨度A（行うよう強く勧める）としており、AGAの治療に高い効果が期待できる薬と認められています。
ただし、これは男性に対しての推奨度であり、同じフィナステリドでも女性に対しての推奨度はD（行うべきではない）とされています。
出典：日本皮膚科学会「男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン 2017年版」
AGA治療薬フィナステリドの効果
AGA治療薬として幅広く使用されているフィナステリドですが、フィナステリドを主成分とする薬はいくつか存在します。
ここでは、フィナステリドを主成分とする以下2つの薬を取り上げて、効果について解説いたします。
- フィナステリド（プロペシア）
- フィナステリド錠
ひとつずつ詳しくみていきましょう。
フィナステリド（プロペシア）
フィナステリドを主成分とするAGA治療薬のひとつに「プロペシア」があります。
プロペシアは、アメリカの大手製薬会社によって製造された世界初のAGA治療薬です。
長い年月と多くの研究を重ねて開発された先発医薬品であり、日本では2005年に厚生労働省から承認されています。
フィナステリド（プロペシア）は、人間の体にある還元酵素「5αリダクターゼ」の働きを阻害することで、薄毛・抜け毛の進行を抑制する効果が期待できるとされる治療薬です。
AGAは、5αリダクターゼが男性ホルモンと結びつき、AGAを発症する原因である「DHT（ジヒドロテストステロン）」を生成することで起こります。
したがって、5αリダクターゼの働きを阻害するとDHTの生成が抑制されるため、AGAの進行を遅延または抑制する効果が見込めます。
出典：AGAスキンクリニック「プロペシアによる治療 ｜効果と副作用、費用について」
フィナステリド錠
フィナステリド錠は、フィナステリドを主成分としたAGA治療薬プロペシアの後発医薬品（ジェネリック医薬品）です。
後発医薬品は、先発医薬品と同一の有効成分を同一量含み、同一経路から投与する製剤です。
先発医薬品と同等の品質・効果・安全性が認められているため、フィナステリド錠はプロペシアと同じ効果が期待できます。
フィナステリド錠の主成分であるフィナステリドは、5αリダクターゼの働きを阻害してDHTの生成を抑制することから、薄毛・抜け毛の進行を抑制する効果が見込めます。
なお、ジェネリック医薬品は研究開発費が抑えられることから、先発医薬品よりも薬価が安いことが特徴です。
そのため、コストを抑えたい方におすすめの医薬品と言えます。
出典：厚生労働省「ジェネリック医薬品への疑問に答えます」
出典：イースト駅前クリニック「プロペシアジェネリック」
AGA治療薬フィナステリドの副作用
フィナステリドは、AGAの症状を抑制する効果が期待できる一方で、目的とする効果以外の好ましくない症状（副作用）があらわれることもあります。
今回はフィナステリドのさまざまな副作用を、以下の2つに分類して取り上げます。
- 【重度の副作用】肝機能障害、性機能障害
- 【その他の副作用】めまい、抑うつ症状、発疹
それぞれ詳しくみていきましょう。
【重度の副作用】肝機能障害、性機能障害
フィナステリドを使用することで、まれに肝機能障害や性機能障害を引き起こす方がいます。
フィナステリドは肝臓で代謝する薬のため、代謝時に肝臓へ負担がかかることで「肝機能障害」を起こす可能性があります。
特に、頻繁に飲酒する方や肥満で脂肪肝の方は肝機能障害が起こりやすいとされています。
肝臓は「沈黙の臓器」と呼ばれているように、初期の段階ではなかなか症状があらわれません。
そのため、血液検査などで定期的に肝機能の数値を計測する必要があります。
また、フィナステリドはAGAが発症する原因である男性ホルモンの働きを阻害する作用が考えられることから、「性機能障害」を起こす可能性があります。
性機能障害には、性欲減退や勃起機能不全、射精障害などが挙げられます。
肝機能障害・性機能障害ともに発現率は高くありません。
しかし、肝機能障害は放っておくと肝臓がんの原因となる肝硬変や肝不全などの疾患に発展する可能性があるため、一定のリスクが伴います。
医師の指示に従って、正しく治療薬を使用することが大切です。
出典：医療法人社団FAM「フィナステリド」
【その他の副作用】めまい、抑うつ症状、発疹など
フィナステリドは、前述の重度の副作用のほかにも以下のような副作用（中度・軽度の症状）があらわれることがあります。
- かゆみや発疹などの皮膚の異常
- めまいや倦怠感
- 抑うつ症状
- 乳房圧痛、乳房肥大 など
フィナステリドを主成分とするプロペシアの添付文書情報（2021年7月改定）では、上記副作用の発現頻度は不明とされています。
薬の副作用は、使用する方の体質や年齢・性別などさまざまな要因によって異なるため、身近な方に副作用があらわれたからといって自分にも副作用があらわれるというわけではありません。
しかし、副作用の強さには個人差があるため、体に異変があらわれたら即座に医師や薬剤師に相談する必要があります。
医師に相談せず、副作用を我慢したり薬の使用をやめたりするとかえって症状が悪化する場合もあるため、注意しましょう。
出典：プロペシア錠0.2mg「添付文書」
AGA治療薬フィナステリドの購入方法
AGA治療薬であるフィナステリドは、以下の方法で購入できます。
- 医療機関による処方
- 通販による個人輸入
ここでは、各購入方法のメリットとデメリットについて解説いたします。
皮膚科・内科・専門クリニックによる処方
フィナステリドは、皮膚科・内科・専門クリニックなどの医療機関でのみ処方・購入することが可能です。
薬局やドラッグストアでは市販されていないため、医療機関を受診する必要があります。
メリットは、体質や症状を見極めた上で自分に合った治療薬を選択してもらえるだけでなく、適切な服用方法や注意事項・副作用についての説明を医師から受けられることです。
また、かかりつけ医がいることによって、副作用が出た場合にもすぐに相談・対応してもらえる環境があります。
一方デメリットは、医師の診察・処方が必要なため、手軽に購入しにくいことや費用面における不安などが挙げられます。
特に、AGA治療は保険が適用されない自由診療のため、人によっては治療薬の値段がネックになることもあります。
通販による個人輸入
フィナステリドは、通販を利用して海外のサイトなどから個人輸入することも可能です。
処方薬に対して、費用が安いことがメリットですが、医師の処方ではないため自己責任になります。
国内で流通している医薬品は、医薬品医療機器等法に基づいて品質や安全性・有効性が確認されていますが、個人輸入の医薬品にはその保証がありません。
そのため、薬の効果が得られない可能性や健康が害される可能性などもあります。
特に、副作用が出た場合「医薬品副作用救済制度」の対象にはならない場合があるため、注意しましょう。
手軽に購入できる反面、個人輸入はリスクが伴うため、おすすめできません。
出典：厚生労働省「医薬品等を海外から購入しようとされる方へ」
AGA治療薬フィナステリドの服用方法・注意点
薬の効果を最大限引き出すためには、用法・用量を守り、正しく服用することが大切です。
ここでは、フィナステリドの服用方法や注意点について解説いたします。
用量は1日に1回1錠厳守
フィナステリドには、0.2mgと1mgがありますが、どちらも1日1回1錠の経口投与が基本です。
通常0.2mgを使用することが多いですが、人によって必要用量は異なるため1日1mgを上限とし、必ず医師と相談の上、用量を定めます。
毎日同じ時間に服用することが大切ですが、万が一飲み忘れた場合でも、飲み忘れた分を翌日の分と一緒に飲むといったことは避けましょう。
決められた用量以上に服用すると、副作用が強く出るリスクがあります。
女性は服用しない、薬に触らない
フィナステリドは、AGAの原因である男性ホルモンを阻害することで薄毛や抜け毛の症状を改善する効果が期待できる治療薬です。
したがって、女性に対する適応がないため、女性は服用できません。
また、フィナステリドは皮膚からも吸収されるため、妊娠中の方や妊娠の可能性がある方が直接触れると、胎児の生殖器の発育に悪影響を及ぼす危険性もあります。
そのため、女性は薬に触れることも禁止されています。
最低半年以上の継続服用が不可欠
フィナステリドを飲んだからといって、すぐに効果があらわれるわけではありません。
効果が実感できるようになるまでには時間がかかるため、継続することが不可欠です。
最低でも6ヶ月以上は継続して毎日服用することが必要です。
ただし効果があらわれる期間には個人差があります。
早い方であれば3ヶ月程度で効果が実感できる方もいますが、6ヶ月経ってもなかなか効果が実感できない方もいます。
効果がでないからといって、薬の服用をやめることがないよう根気強く続けましょう。
AGA治療薬フィナステリドの費用相場
一般的なフィナステリド（28錠入り）の費用相場は「3,000円～8,000円／月」です。
フィナステリドには、先発医薬品の「プロペシア」と後発医薬品（ジェネリック医薬品）の「フィナステリド錠」があります。
費用相場の内訳は、先発医薬品（プロペシア）が約8,000円、後発医薬品（フィナステリド錠）が約3,800円～6,000円です。
後発医薬品は、先発医薬品よりも研究開発費を抑えられるため、薬価が安いことが特徴です。
先発医薬品と後発医薬品のどちらを使用するかは医療機関によって異なるため、フィナステリドを処方してもらうときの費用にも差が生まれます。
なお、AGAの治療には通院が必須です。
3～4週間に1回のペースで通院することが多いですが、医療機関によっては1～2ヶ月に1回通院するところもあります。
フィナステリドの服用は1日1回1錠の経口投与のため、通院時に次回通院日までの分の薬を処方してもらうとすると、1回の通院でかかる費用は3,000円～8,000円または6,000円～16,000円程度と考えられます。
出典：イースト駅前クリニック「プロペシアジェネリック」
出典：ベアAGAクリニック「フィナステリドの値段はいくら？相場とクリニックごとの価格を比較し紹介」
フィナステリドとデュタステリドの違いとは？【比較】
フィナステリドと同じAGA治療薬のひとつに”デュタステリド”があります。
フィナステリドとデュタステリドはどちらも、5αリダクターゼ（酵素）の働きを阻害する薬ですが、効果や主成分などさまざまな違いがあります。
ここでは、フィナステリド（プロペシア）とデュタステリド（ザガーロ）を取り上げて解説いたします。
それぞれの違いは以下の通りです。
| フィナステリド（プロペシア） | デュタステリド（ザガーロ） | |
| 効果 | 5αリダクターゼ「Ⅱ型」のみ阻害 | 5αリダクターゼ「Ⅰ型」「Ⅱ型」を阻害 |
| 副作用 | 主な副作用は同じ
※ただし、デュタステリドのほうが男性機能低下のリスクが高い |
|
| 用量 | 通常、0.2mgを1日1回経口投与 | 通常、0.5mgを1日1回経口投与 |
| 主成分 | フィナステリド | デュタステリド |
主成分や用量など異なる点はいくつかありますが、なかでも注目は効果と副作用です。
上記からもわかるように、5αリダクターゼにはⅠ型とⅡ型があります。
フィナステリドがⅡ型のみを阻害するのに対して、デュタステリドはⅠ型・Ⅱ型をどちらも阻害するため、フィナステリドよりも効果の及ぶ範囲が大きい＝より高い効果が期待できます。
しかしその反面、男性ホルモンであるDHT（AGAの発症する原因）をほぼ完全に阻害することから男性機能に与える影響（副作用）が大きいとされています。
出典：はなふさ皮膚科「フィナステリド（プロペシア）とデュタステリド（ザガーロ）の比較」
日本人男性の約1,200万人がAGAに悩んでいる？平均発症年齢は？
日本人男性の多くが薄毛・抜け毛の悩みを抱えており、そのうちの約9割以上がAGAを発症するとされています。
AGAは、男性ホルモン（テストステロン）と5αリダクターゼ（酵素）が結びつき、悪玉男性ホルモンDHT（ジヒドロテストステロン）を生成することで起こります。
男性ホルモンは思春期から分泌量が急激に増えるため、AGAは思春期以降に発症するケースが多いです。
日本人男性のAGA発症率は、年齢が上がるにつれて高くなり、30代～40代にかけて急激に高まります。
また、株式会社リクルートが運営する調査研究機関ホットペッパービューティーアカデミーのアンケート「薄毛に関する意識調査2022」によると、薄毛が気になりだした平均年齢（男性）は37.9歳です。
先に述べた通り、薄毛に悩みを抱えている方の約9割以上がAGAを発症するとされていることをふまえると、AGAを発症する平均年齢は38歳前後だと考えられます。
出典：VALUES「若い学生でもAGAになるって本当？原因や対策方法について解説します」
出典：ホットペッパービューティーアカデミー「薄毛に関する意識調査2022」
出典：千里中央メディカルクリニック「AGAの年齢別発症率と治療法」
AGA治療薬フィナステリドに関するよくある質問
AGA治療薬のフィナステリドについて、よくある質問をまとめています。
「ミノキシジル外用薬と併用しても大丈夫？」「風邪薬や頭痛薬と一緒に飲んでも問題ない？」など、気になることや心配なことがある方はぜひ参考にしてみてください。
フィナステリドはどのくらいで効きますか？
薬の副作用が人それぞれ異なるのと同様に、薬の効果が実感できるようになるまでの期間も人それぞれ異なります。
薬の服用を開始してからすぐに効果があらわれるわけではないため、効果を実感するにはある程度の時間が必要です。
日本皮膚科学会が定める「男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン（2017年版）」では、少なくとも6ヶ月程度は内服を継続して効果を確認すべきであるとしています。
出典：日本皮膚科学会「男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン 2017年版」
ミノキシジルなどの外用薬や育毛剤と併用できますか？
原則として、フィナステリドに併用禁忌の薬はありません。
ミノキシジルなどの外用薬や育毛剤と併用できます。
フィナステリドとミノキシジルはどちらもAGAの治療によく用いられますが、作用する部分がそれぞれ異なります。
薄毛を予防（現状を維持）する効果が期待できるフィナステリドを「守りの薬」とするならば、発毛を促進する効果が期待できるミノキシジルは言わば「攻めの薬」です。
守りと攻めの薬はそれぞれ別で使用するよりも、併用することで効果がアップします。
ただし、持病があって他の薬を飲んでいる方や不安を感じる方は、念のため医師へ相談することがおすすめです。
フィナステリド服用中でも、風邪薬や頭痛薬は飲めますか？
市販の風邪薬や頭痛薬などで、フィナステリドと飲み合わせに問題があるものはほとんどありません。
したがって、フィナステリド服用中でも風邪薬や頭痛薬などを飲むことは可能です。
ただし、複数の薬を同時に服用していると肝臓や胃腸に負担がかかりすぎる場合があります。
フィナステリド服用中に、ほかの薬を服用しなければいけなくなった場合は、一度かかりつけ医に相談することが好ましいでしょう。
AGA治療薬フィナステリドまとめ
ここまでAGA治療薬のフィナステリドについて伝えてきました。
AGA治療薬のフィナステリドの要点をまとめると以下の通りです。
- フィナステリドは、AGAの治療に有効とされる成分のひとつで、フィナステリドを主成分とした先発医薬品（プロペシア）と後発医薬品（フィナステリド錠）がある
- フィナステリドの副作用には、肝機能障害や性機能障害、めまい、抑うつ症状、発疹などがある
- フィナステリドの購入方法は、医療機関による処方または通販による個人輸入だが、個人輸入はさまざまなリスクが伴うためおすすめではない
- フィナステリドに、併用禁忌の薬はないが、持病などで服用している薬がある場合は医師に相談することが好ましい
これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。