生理痛薬は生理痛の痛みを和らげます。
生理痛は、子宮が収縮する時に起こる下腹部や腰痛などの不快な症状のことです。
生理痛の種類は人それぞれで、下腹部痛の他、頭痛や胃痛、吐き気や目眩などを伴うこともあります。
本記事では、生理痛薬について以下の点を中心にご紹介します。
- 生理痛薬は効果があるのか
- 生理痛薬が効かない原因について
- 生理痛はピルで改善できる
生理痛薬について理解するためにもご参考いただけますと幸いです。
ぜひ最後までお読みください。
生理痛薬は効果がある?
生理痛薬を服用することで、生理による様々な痛みを抑える効果が期待できます。
月経痛は、プロスタグランジンという痛みの元が子宮を収縮させることにより、痛みを引き起こします。
そのため、プロスタグランジンを抑える働きを持つ非ステロイド性抗炎症薬や、脳に痛みの情報を伝える物質を抑えるアセトアミノフェンを使用した薬が主流となっています。
しかし、生理痛薬の服用回数が増えることにより、副作用として痛みに敏感になってしまうことがあります。
薬の量が増えると効き目が持続する時間が短くなり、脳が痛みを過敏に感じ取りやすい状態になってしまうためです。
飲み過ぎの基準としては、月に15日以上鎮痛薬を飲んでいる場合ですが、月に10日以上飲んでいる人は注意が必要です。
鎮痛剤を効果的に服用することで、生理痛が緩和されるだけでなく体への負担も軽減され、日常生活が楽に過ごせるようになります。
生理痛薬を飲みすぎることなく、上手に活用することが大切です。
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生理痛薬が効かない原因
生理痛薬が効かない場合、様々な原因があります。
服用するタイミングや病気が潜んでいる場合もあるため、もし生理痛薬を服用しても効き目が悪い場合は、医師に相談してみることをおすすめします。
生理痛薬を飲むタイミングが悪い
生理痛薬は、飲むタイミングにより効き目に差が出ることがあります。
良いタイミングとしては、少しでも痛みを感じてきた時点で飲むのがおすすめです。
1番良くないのは、痛みが大きくなるまで耐えてから薬を飲むこと。
すでに痛みの原因物質が大量に作られてしまっているため、その分痛みを抑える効果が出るのに時間が掛かってしまいます。
痛みの原因物質が少ない時点で飲むことにより、痛みを抑える効果が早く出やすくなります。
冷えによる血流の悪化やストレス
冷えやストレスによる血流が悪い状態は、生理痛薬が効きづらくなります。
薬が効果を出すメカニズムは、服用した薬の成分が胃で分解され、血液中に入り込むことで全身を巡り、患部に到達し作用します。
血流が悪い状態だと、薬の成分が患部に到達しにくい状態となります。
ひどい痛みは病気の可能性も
生理痛の痛みが酷い場合は、病気が潜んでいる可能性も考えられます。
病気が原因で起こる生理痛には、月経困難症の他、子宮筋腫や子宮内膜症などがあります。
子宮筋腫は、子宮内にできる良性の筋腫のこと。
子宮筋腫が原因で起こる症状としては、過多月経や過長月経、月経困難症や不正出血などがあります。
子宮内膜症は、通常は子宮の内側に作られる子宮内膜が、子宮の外に作られてしまう病気です。
子宮内膜は生理が来ることにより剥がれ、血液として出血します。
しかし子宮の外側にできることで剥がれ落ちないままだったり、他の組織に癒着を起こしたりすることで痛みを起こします。
もし生理痛薬を飲んでも痛みが緩和されない場合は、早めに医師に相談することをおすすめします。
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生理痛はピルで改善しよう!
生理痛は、生理痛薬の他にピルで改善できる場合があります。
ピルを服用することで排卵を抑制し、生理周期をコントロールすると生理痛の症状が緩和されます。
生理痛薬が効きづらいほど生理痛が酷い場合は、ピルの服用がおすすめです。
ピルの効果
生理痛が酷い場合、月経困難症である可能性が考えられます。
月経困難症は、下腹部痛や腰痛などの一般的な生理痛の症状に加え、吐き気や頭痛、憂鬱感や不安感などを伴う症状のことです。
症状は重さも含め人それぞれで、自分でコントロールすることが難しく、普段の生活に支障を来たすことも多くなります。
月経困難症の改善には、ピルの服用がおすすめです。
ピルを服用することで卵胞ホルモンと黄体ホルモンが体内に入り、排卵の抑制や子宮内膜が厚くなることを減らします。
生理によって剥がれ落ちる子宮内膜を減らすことで月経の回数を減らし、生理を軽くする効果が期待できます。
ピルはしばらくの間継続して服用する必要がありますが、月経困難症の辛い痛みや症状を緩和させることが期待できます。
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生理痛を治すためのおすすめのピルを紹介!
生理痛の改善には、ピルの服用がおすすめです。
ピルを決められた周期で服用することで、月経困難症などの辛い生理痛に効果を発揮します。
ピルには様々な種類があるため、医師に相談した上で、自身にあったピルを利用しましょう。
ルナベル
ルナベルには、低用量ピルの「ルナベル配合錠LD」と超低用量ピルの「ルナベル配合錠ULD」の2種類があります。
2種類の違いは、卵胞ホルモン「エチニルエストラジオール」の含有量です。
「ルナベル配合錠ULD」の方が「ルナベル配合錠LD」より卵胞ホルモンの量が少ないため、吐き気や頭痛などの副作用が起こりにくい処方です。
作用は2種類とも同様で、卵胞の発育と排卵を抑えることにより、月経時に発生する痛みを和らげます。
ヤーズ
ヤーズは、月経困難症に適応のある超低用量ピルです。
卵胞ホルモンと黄体ホルモンの2種類を配合しており、それぞれの作用は下記の通りです。
- 卵胞ホルモンは、不正出血が起こりにくくなる作用
- 黄体ホルモンは、排卵を抑えると共に子宮内膜が厚くならない作用
2つの作用により、痛みの原因となるプロスタグランジンを抑えることで、痛みを改善し不正出血が起こりにくい効果が期待できます。
月経が始まった日から飲み始め、「24日間服用+4日間休薬」の28日間を1周期として服用を継続します。
トリキュラー
トリキュラーには、「トリキュラー錠21」と「トリキュラー錠28」の2種類があります。
2種類の違いは服用周期の違いで、月経が始まった日から飲み始めます。
- トリキュラー錠21は「21日間服用+7日間休薬」の28日間を1周期として服用を継続
- トリキュラー錠28は28日間連続服用し、28日間を1周期として服用を継続
卵胞ホルモンと黄体ホルモンの2種類を配合しており、排卵を抑えることで避妊効果が期待できます。
主として排卵を抑え、子宮内膜変化により着床を抑え、頸管粘膜変化により精子通過を阻害して、避妊効果が期待できます。
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ピルを飲むおすすめのタイミング
ピルは、原則として生理1日目から飲み始めます。
その後は決められた時間に決められた期間、服用を続ける必要があります。
ピルの正しい飲み方
ピルの正しい飲み方としては、服用期間中は決められた時間に毎日1錠を飲み、必ず休薬期間を守ることです。
ピルの種類にもよりますが、基本的には24〜28日間連続して服用した後、4〜7日間の休薬期間を設けます。
休薬期間に、生理のような出血が起こるという仕組みです。
休薬期間は決められた日数を必ず守り、出血の有無に関わらず、次の周期を開始する必要があります。
決められた服用期間と休薬期間を守ることで、正しい効果を得られるため、ご自身の生活リズムにあった時間を決めると良いでしょう。
服用期間を守るため、1シートごとに日付が書かれたカレンダーのようなデザインとなっているものがほとんどです。
また、休薬期間の後の飲み始めを忘れないように、プラセボ錠という偽薬を飲むようになっているものもあります。
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ピルはもはや避妊薬ではない!
ピルといえば避妊薬というイメージがある方もいるかと思いますが、現在は月経困難症の治療として使用されるものが多くなっています。
具体的には、生理周期の安定や生理痛・子宮頸疾患の軽減、肌の調子を整えるという効果も期待できます。
生理周期の安定
ピルを服用することで、生理周期が安定する効果が期待できます。
服用を始めてすぐは副作用として不正出血が起こりやすいですが、服用を続けることで徐々に安定していくことがほとんどです。
服用期間と休薬期間の周期を繰り返すことで、生理周期が安定していきます。
そのため、生理周期を調整する効果が期待できます。
生理痛軽減や肌の調子を整える
ピルを服用すると、生理痛の軽減や肌の調子を整える効果が期待できます。
生理痛薬の主な効果としては、生理による様々な痛みを抑えられる作用があります。
プロスタグランジンという痛みの元が、子宮を収縮させることにより引き起こす生理痛を軽減させます。
生理周期を整えることでホルモンバランスが安定するため、肌の調子を整える効果も期待できます。
ピルに含まれるエストロゲンは、過剰に皮脂を分泌するアンドロゲンという男性ホルモンを抑制します。
皮脂の分泌を抑え毛穴の詰まりが軽減されることで、ニキビなどの肌荒れを防ぎ、肌の調子を整えます。
子宮系疾患の軽減
ピルを服用することで、子宮筋腫や子宮内膜症など子宮系疾患のリスクを抑える効果が期待できます。
子宮筋腫は子宮内にできる良性の筋腫で、過多月経や月経困難症などの原因となります。
ピルを服用することで卵胞ホルモンの過剰分泌を防ぎ、黄体ホルモンの作用により子宮筋腫の発生を抑えられる効果を発揮します。
また、子宮内膜症は、通常は子宮の内側に作られる子宮内膜が子宮の外に作られてしまう病気です。
ピルを服用することで排卵を抑制し、子宮内膜が厚くなるのを防ぎます。
そのため、子宮内膜症の進行を妨げる作用があります。
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ピルで生理痛を改善する際の注意点
ピルで生理痛を改善する際の注意点は、ピルによる副作用や飲み合わせの悪い薬・サプリメントについて理解することです。
ピルを服用できない方もいるため、医師に相談してから服用しましょう。
主な副作用
ピルによる主な副作用は、吐き気や不正出血、肌荒れなど様々です。
中でも吐き気は、服用し始めた頃に起こることが多くなっています。
身体がピルに慣れるまでの一時的なもののため、大抵の場合は数日で治まることがほとんどです。
また、副作用として最も注意が必要なのが血栓症です。
血栓症は、血管に血栓が詰まってしまう病気のことで、心筋梗塞や脳梗塞につながるおそれのある症状です。
ピル服用中はこまめな水分補給や運動習慣などで血流を良くし、血栓症にならないように気をつけて生活する必要があります。
飲み合わせの悪い薬やサプリメントを避ける
基本的に風邪薬や胃腸薬などは併用できますが、種類によっては飲み合わせが悪い場合があります。
特に下記の成分を含む薬やサプリメントには注意し、服用前に医師に相談しましょう。
飲み合わせの悪い薬例
- 解熱鎮痛薬(アセトアミノフェン)
- 抗生物質(テトラサイクリン系・ペニシリン系)
- ステロイド(抗炎症薬)
- イミプラミン・トフラニール(抗うつ剤)
飲み合わせの悪いサプリメント例
- セントジョーンズワート
- プラセンタ
- チェストベリー、チェストツリー
特に市販薬の解熱鎮痛剤や、処方薬の抗生物質には注意が必要です。
てんかんや血栓症予防の薬も併用できないため、特質すべき持病などがある場合は医師に相談しましょう。
ハーブ類はサプリメントだけでなく、ハーブティーにも含まれている場合もあります。
特にサプリメントは普段から何気なく飲んでいる場合が多いため、ピルを服用中は注意しましょう。
服用できない方
下記の症状がある方については、ピルを服用できません。
- 妊娠中や授乳中の方
- 乳癌や子宮頸癌および疑いのある方
- 中度以上の高血圧や血栓性素因のある方
- 35歳以上で1日15本以上の喫煙者
- 以前ピルを服用したことで過敏症を起こした方
その他、加齢とともに血栓症のリスクが高まるため、40歳以上の方は医師への相談が必要です。
ピルは副作用として血栓症のリスクがあるため、喫煙している方は特に注意し、ピル服用の際は禁煙するようにしましょう。
特に35歳以上で1日15本以上で喫煙している方は、より血栓症のリスクが高まるため服用ができません。
他の薬を服用している場合や新たに服用する場合は、必ず医師または薬剤師に相談することが重要となります。
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「生理の貧困」に関する政府の取り組み
「生理の貧困」とは、経済的な理由からナプキンなどの生理用品の入手が困難な状況のことを言います。
その他、羞恥心など心理的な要素から生理用品の購入が難しく、家族の理解不足のために入手ができないという状況もあります。
全国581団体が実施(2017年7月20日時点)
内閣府は「生理の貧困」の取組みの実施について、全国581の地方公共団体に対し調査を実施しました。
下記の調査方法を元に、相談窓口の案内方法や個別ニーズの把握、提供方法の工夫についての調査となりました。(2021年7月20日時点)
- 検討中などと回答した場合や、配布等の取組みを終了している場合も含む
- 最新の情報がすべて把握されているものではない
- 市区町村の取組みに加え、都道府県が実施主体となる取組みを含む
調査の結果、地方自治体の支援として、社会福祉協議会や教育委員会と連携し取組みを行っている事例が多くあります。
その他、民間事業者と協定を締結し、無料のナプキンディスペンサーを設置するという取組みも見られます。
地方自治体の支援
各団体における支援内容の事例と効果については、下記の通りです。
支援事例 | 支援内容 | 支援に繋がった例 |
相談窓口の案内 | 各種相談窓口に関する情報や、各種支援制度を掲載したチラシやリーフレットを作成し案内した | ・リーフレットを見て来たという相談があった ・相談窓口を知るきっかけとなり、必要な支援に繋がった |
個別ニーズの把握 | 生理用品を提供する際に、声掛けやアンケートを行った | 悩みが分かった時点で、しかるべき相談支援に繋げた |
また、生理用品の提供方法の工夫としては、下記のような取組み事例があります。
- 公共施設や小中学校のトイレに生理用品を備え、自由に使用できるようにした
- 意思表示のカードにより、声に出さずに生理用品を受け取れるように配慮した
- 生徒が抱える不安や悩みを養護教諭等に相談できる機会となるよう、保健室で生理用品を提供した
このような取組みを行うことで、団体の予算措置や地域住民からの寄付の申し出、生理を通して自分の体を理解するイベントの開催などにも繋がっているようです。
地方公共団体が「生理の貧困」という状況にある女性たちがいることを発信することで、様々な支援に繋がっています。
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生理に関するよくある質問
生理は、生理周期や生理痛など人それぞれ異なるため、様々な疑問や不安があるものです。
もし受診が必要であることが分かれば、病気の早期発見に繋がる可能性も高くなります。
ピルを飲むのをやめたら生理痛はひどくなりますか?
ピルの服用を止めると、早ければ1ヶ月以内、大抵の場合は3ヶ月以内に生理が再開します。
生理が再開するということは排卵も再開するため、服用前にあった生理痛の症状が復活することがあります。
その場合は、ピルの服用を再開しても問題ありません。
ピルは28日周期を繰り返すことで、ホルモンバランスが正常に整っていくという作用があります。
しかし、ピルには血栓症のリスクが高くなるという副作用があるため、何度も服用の再開を繰り替えしていると、常にリスクがつきまとう状態となります。
服用している間は、定期的に診察や検診を受け、常に体の状態を把握しておくことが大切です。
生理周期は平均して何日くらいですか?
生理周期とは、生理の開始から次の生理開始までの期間を指します。
正常範囲は25~38日程度ですが、人により異なります。
最短で24日以内の人もいれば、最長で39日以上という方もいます。
正常範囲より短すぎたり長過ぎたりする場合は、何らかの異常や病気の可能性も疑われるため、医師に相談してみることをおすすめします。
1週間生理がこないのは大丈夫ですか?
目安としては10日以上経過しても生理が来ない場合で、なるべく2週間以内に受診した方が良いでしょう。
特に元々生理周期が安定している方は、何らかの影響を受けている可能性があります。
生理がこない理由として考えられるのは、妊娠の他、ストレスや病気、ホルモンバランスの乱れなど様々な原因が考えられます。
早期に病気を発見できる場合もあるため、早めに医師の診察を受けるようにしましょう。
生理についてどこに相談すればよいですか?
また、女性の健康についての情報提供サイト「女性の健康推進室ヘルスケアラボ」では、生理に関することを含め女性の健康に関する情報を発信しています。
厚生労働科学研究費補助金により、研究班が作成している専門性のある情報サイトになります。
生理に関する質問や、相談窓口も記載されているため参考にしてみてください。
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生理痛薬のまとめ
ここまで生理痛薬についてお伝えしてきました。
生理痛薬の要点をまとめると以下の通りです。
- 生理痛薬は、生理による様々な痛みを抑える効果が期待できる
- 冷えを改善して血流を良くし、少しでも痛みを感じた時点で飲むと高い効果が期待できる
- ピルを服用することで月経の回数を減らし、生理痛を軽くする効果が見込める
これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。