男性にみられる性病の症状は?症状の特徴から検査時期まで解説!

  • 2022年9月11日
  • 2023年9月30日
  • 性病
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性病は自然治癒しないため、早めの治療が肝心です。

しかし、症状が出ていても性病に気づかず、医療機関の受診が遅れるケースは少なくありません。

一体、どのような症状があらわれたら性病を疑うべきなのでしょうか。

本記事では男性の性病の症状について、以下の点を中心にご紹介します。

  • 性病の可能性がある男性の症状
  • 代表的な性病の種類と男性にあらわれやすい特徴について
  • 性病によって潜伏期間が異なるのか

男性の性病の症状について理解するためにもご参考いただけますと幸いです。

男性の性病とは

医師

性病とは、性的な接触で感染する疾患の総称です。

具体的には、感染者の血液・唾液・分泌物・粘膜などが体内に入ると感染します。

性病の主な感染経路は、以下の通りです。

  • 膣性交
  • オーラルセックス(口腔性交)
  • アナルセックス(肛門性交)
注意!
基本的に自然治癒は期待できません。

性病の進行を防ぐには、できるかぎり早い段階で治療を受ける必要があります。

治療開始が早いほど、重症化リスクは低くなります。

そのため、性病の心当たりがある場合や気になる症状が出た場合は、早急に医療機関を受診することが重要です。

性病が疑われる男性の症状

疑問を抱く男性

性病は、なるべく早めに治療を受けることが重要です。

早期発見につなげるためにも、性病の症状をあらかじめ把握しておきましょう。

性病ごとに代表的な症状をまとめました。

【男性の性器周辺にあらわれる主な症状】

症状 可能性のある性病
性器から膿が出ている クラミジア感染症、淋病、性器マイコプラズマ
排尿時に痛み・痒み・違和感がある クラミジア感染症、淋病、性器マイコプラズマ、性器ヘルペス
性器に水ぶくれができた 性器ヘルペス
性器にいぼ・しこりができた 尖圭コンジローマ、梅毒
性器周辺がかゆい 梅毒、性器ヘルペス
性器から異臭がする クラミジア感染症、淋病、梅毒、性器ヘルペス、性器マイコプラズマ

ちなみに、性病は性器以外に症状が出ることもあります。

性病の代表的な全身症状は、以下の通りです。

【男性の全身にあらわれる主な症状】

症状 可能性のある性病
発熱・倦怠感 梅毒、性器ヘルペス
脚の付け根・リンパ節が痛い 梅毒
脚の付け根にあざ・湿疹がある 梅毒
のどの痛み 淋病、クラミジア感染症

性病の程度などによっては、自覚症状がまったくあらわれないこともあります。

たとえば、淋病・クラミジアなどは、男性・女性を問わず症状が出にくい性病です。

症状がないからといって治療を受けずにいると、性病は次第に進行していきます。

最終的には、命に危険を及ぼすこともあります。

重症化を防ぐためにも、性交後になんらかの不調があらわれた場合は、念のため医療機関を受診しましょう。

男性は、皮膚科・泌尿器科などの受診が一般的です。
なお、受診すべき診療科は男性と女性で異なります。

自治体によっては、保健所が性病検査を実施しているところもあります。

地域・施設によって検査できる性病の種類などは異なるため、詳しくはホームページなどで確認してください。

性病の症状について

男性

代表的な性病と、男性にあらわれやすい症状を紹介します。

心当たりがある場合は、早急に医療機関を受診しましょう。

クラミジア感染症

性器クラミジアは、日本で最も感染者が多い性病です。

性別は関係なく、若年層の感染が目立ちます。

性器クラミジアの発症原因は、クラミジアという細菌に感染することです。

主な感染経路は、膣性交・肛門性交・口腔性交です。

口腔性交によって、のどから感染する場合は咽頭クラミジアと呼ばれることもあります。

感染を防ぐには、膣性交だけでなく、アナルセックスやオーラルセックスでも十分な対策が必要です。

性器クラミジアの主な症状は、以下の通りです。

  • 性器のかゆみ・痛み
  • 排尿時の痛み・違和感
  • 性器から白・透明のサラサラした膿が出る
  • 尿道炎・前立腺炎・精巣上体炎
  • のどの痛み・軽い腫れ(咽頭クラミジアの場合)

性器クラミジアは通常、性器・肛門などから感染します。

性器で感染したウイルスは、時間の経過とともに体内の奥深くへ移動していきます。

具体的には、感染が起こった性器周辺から、尿道を通って体内の奥へ移動します。

ウイルスの移動に伴い、尿道や睾丸、精巣上体などで炎症が起こることもしばしばです。

尿道炎や睾丸炎は、排尿時に痛みを感じることもあります。

ただし、クラミジアは自覚症状がないケースも少なくありません。

一説には、5人中4人に自覚がないとも指摘されています。

そのため、罹患に気づかないという方もしばしばおられます。

もし、直近の性交渉の相手にクラミジアの疑いがある場合は、念のためご自身も性病検査を受けましょう。

淋病

淋病も、性病の中では感染率が高い性病です。

淋菌というウイルスに感染して発症します。

淋病は、女性より男性に目立つ性病です。

主な感染部位は、性器・肛門・口(のど)です。

口から感染した場合は、咽頭淋病などとも呼ばれます。

淋病の主な症状には、以下のようなものがあります。

  • 尿道の違和感・痒み
  • 性器からドロッとした黄色い膿が出る
  • 排尿時に強い痛み
  • 尿道炎・前立腺炎・精巣上体炎
  • のどの痛み・軽い腫れ(咽頭淋病の場合)

淋病もクラミジアと同じく、重症化すると尿道炎や精巣上体炎を招きます。

精巣上体炎は、男性の不妊原因になることも少なくありません。

なお、淋病は自覚症状があらわれないこともしばしばです。

特に、咽頭淋病は症状があらわれにくいと指摘されています。

性器マイコプラズマ

性器マイコプラズマは、「マイコプラズマ・ジェニタリウム」「マイコプラズマ・ホミニス」などに感染することで発症します。

なお、マイコプラズマといえば、日本では「肺炎マイコプラズマ」が有名です。

名称は似ていますが、性器マイコプラズマと肺炎マイコプラズマは原因菌が異なります。

性器マイコプラズマは、性交渉などによって性器・肛門・のどから感染します。

体液・粘膜を介するため、ディープキスなどで感染することもあります。

性器マイコプラズマの主な症状は、以下の通りです。

  • 排尿時の痛み
  • 性器から膿が出る
  • 性器や性器周辺のかゆみ・痛み・腫れ
  • のどの痛み・腫れ・痰(咽頭感染の場合)

性器マイコプラズマの症状は、クラミジアや淋病とよく似ています。

そのため、クラミジアや淋病の検査だけを受け、性器マイコプラズマには気付かないというケースは少なくありません。

性器マイコプラズマを放置すると、精巣上体炎などを誘発します。

結果、男性の不妊の原因となることもあります。

気になる症状があるときは、クラミジア・淋病の検査と一緒に、性器マイコプラズマの検査も受けましょう。

性器ヘルペス

性器ヘルペスは、性器周辺に水ぶくれ状の湿疹ができます。

発症原因は、単純ヘルペスウイルスに感染することです。

性器ヘルペスの主な症状は、以下の通りです。

  • 感染部位(性器・肛門・口)周辺に痛みを伴う水ぶくれができる
  • 排尿時に強い痛みがある
  • ふとももの付け根やリンパ節の痛み
  • 発熱

性器ヘルペスは、初発時に重篤な症状が出ることがしばしばです。
具体的な症状は、水ぶくれのほか、発熱、性器・リンパ節の強烈な痛みなどがあります。

再発時は、初発に比べて症状が軽いケースが多く、発熱や痛みなどはあまりありません。

ただし、症状の程度・あらわれ方には個人差があります。

性器ヘルペスには、もう1つ特徴があります。

1回感染すると、再発を繰り返す点です。

ヘルペスウイルスは、1回感染すると生涯を通じて体内に潜伏し続けます。

平常時は活動を休止しているものの、宿主の免疫力が下がると活動を再開して症状を引き起こします。

免疫力が下がる原因には、風邪・疾患・疲労・ストレスなどが代表的です。

1回感染すると完治はしないため、発症を防ぐにはウイルス感染そのものを阻止する必要があります。

性器ヘルペスのウイルス感染は、性交渉のほか、キス・回し飲みなどでも起こります。

あるいは、ウイルスが付着したタオルの共有や便座を介して感染するケースもあります。

すでに感染している場合は、再発防止に取り組みましょう。
具体的には、生活習慣などを見直すことで、免疫力を維持することが重要です。

あるいは、抗ウイルス剤などを服用してヘルペスウイルスの活性化を抑えることもあります。

HIV

HIVは、ヒト免疫不全ウイルスのことです。

エイズの原因として有名ですが、HIV感染=エイズというわけではありません。

エイズとは、HIV感染が原因で合併症を発症した状態を指します。

HIVに感染すると、身体の免疫力が著しく低下します。

結果、普段は無害なウイルス・カビなどによって感染症が起きます。

たとえば、カンジタ症、ニューモシスチス肺炎、ヒトプラズマ症などが代表的です

実際にあらわれる症状は、発症する感染症などによって異なります。

なお、HIV単独の症状としては、以下のようなものがあります。

  • 発熱
  • 頭痛
  • 筋肉痛・関節痛
  • リンパ節の腫れ

HIVの症状は、重度の風邪やインフルエンザの症状に似ています。

そのため、HIV感染に気づかないケースも少なくありません。

HIVの代表的な感性経路は性交渉・性的接触です。

あるいは、母子感染や注射針の使い回しなどによる血液感染でも起こります。

梅毒

梅毒は、梅毒トレポネーマというウイルスに感染して発症します。

体液・粘膜を介して感染するため、性的接触以外でも罹患することがあります。

たとえば、ディープキスのほか、感染者の傷口への接触などが該当します。

近年感染者数が急増しているため、特に気をつけるべき性病の1つです。

梅毒は数年かけて進行するのが特徴です。

加えて、症状が消えたりあらわれたりする点も特徴的です。

症状が消失するため、完治したと誤解して治療を受けないケースも少なくありません。

しかし、目に見える症状が消えてもウイルスは体内に潜伏し続けます。

重症化すると、命に危険を及ぼすため、感染に気づいた時点で医療機関を受診しましょう。

なお、梅毒は感染後の経過期間によってあらわれる症状が異なります。

具体的には、以下のような症状があらわれます。

【感染後3週間~】

感染部位(性器・肛門・口)に小さなしこりができる

【感染後3カ月~】

手のひら・足裏・胴体に赤い発疹が出る

【感染後3年~】

皮膚・筋肉・骨などの全身にゴムのような発疹が広がる

【晩年】

心臓・血管・神経などに異常があらわれる

晩年には心臓・血管・脳などに異常があらわれ、命を落とします。

一方で、早めに治療すれば治癒が期待できます。 

尖圭コンジローマ

感染部位に特徴的な形のイボができる疾患です。

ヒトパピローマウイルスの感染が原因で発症します。

具体的な感染経路は、性交渉・ディープキス・感染者の傷口への接触などです。

他の性病と比べると潜伏期間が長いため、感染時期・経路の特定ができないケースも少なくありません。

尖圭コンジローマは、感染部位(性器・肛門・口内)に乳頭状のイボができるのが主な症状です。

尖圭コンジローマは、感染部位に先の尖ったイボができるのが特徴です。

イボは、灰・ピンク・白色などをしています。

多くの場合、痛みやかゆみはありません。

ただし、人によっては痛み・かゆみが出ることもあります。

治療せず放置した場合、イボが巨大化したり、数が増えることがあります。

自然に治癒することもありますが、重症化を防ぐためにも医療機関を受診してください。

なお、尖圭コンジローマは一度感染するとウイルスが体内に潜伏し続けるため、再発を繰り返すことが多いです。 

カンジダ

カンジダは、カンジダ属の真菌に感染して起こる性病です。

真菌はカビの1種です。

カンジダ属の菌は、もともとヒトの皮膚や粘膜に存在する菌です。

普段は無害ですが、身体の免疫力が落ちた時などに症状を引き起こします。

代表的な症状は、以下の通りです。

  • 性器のかゆみ・ただれ・赤み
  • 性器に水ぶくれ・白いコケができる
  • 尿道のかゆみ・違和感
  • 排尿時の痛み
  • 性器から分泌物が出る

性的接触でも感染しますが、頻度はさほど高くありません。

実際に、性行為が原因のカンジダ症は全体の約5%とも指摘されています。

カンジダは性別に関係なく発症しますが、男性は女性と比べると発症率は低めです。

ちなみに男性の中でも、包茎の方は包茎でない方と比べると発症率が高くなります。

B型肝炎

B型肝炎ウイルスに感染することで発症します。

B型肝炎は、急性肝炎と慢性肝炎の2つに分けられます。

急性肝炎は、特に成人での発症が目立ちます。

性的接触によって感染した後、約半年で症状があらわれるのが特徴です。

慢性肝炎は多くの場合、出産時または乳幼児期に罹患します。

数年〜数十年間、症状が出ないこともしばしばです。

主な症状には、以下のようなものがあります。

  • 全身倦怠感
  • 食欲不振
  • 悪心・嘔吐
  • 褐色尿
  • 黄疸
  • 肝不全

重症化すると、肝硬変や肝がんに至ることもあります。

代表的な感染経路は、性的接触や母子感染です。

C型肝炎

C型肝炎は、C型肝炎ウイルスに感染して発症します。

B型肝炎と比べて急性肝炎のリスクは低く、多くの場合は慢性的に症状が進行します。

なお、C型肝炎では感染後数日〜数週間で以下のような症状があらわれることがあります。

  • 倦怠感
  • 食欲不振
  • 吐き気

最終的には、肝硬変や肝がんに至ることも少なくありません。

なお、肝硬変に至るまでには数十年かかることが一般的です。

C型肝炎は、性的接触でも感染しますが、割合が大きいのは血液感染です。

たとえば、注射針の使い回しや感染者との歯ブラシ・剃刀の共有などが主な感染経路です。

あるいは、清潔でない器具でピアスの穴をあけて感染することもあります。

性病ごとの潜伏期間と検査時期

性病にはそれぞれ潜伏期間があります。

潜伏期間とは、感染してから症状があらわれるまでの期間です。

また、性病は感染後すぐ検査をしても、ウイルスが検出されないこともあります。

そのため性病検査は、感染の可能性が考えられる時点から、一定時間経過してから受けるのがおすすめです。

以下に、性病別の潜伏期間と検査可能時期をまとめました。

病名 潜伏期間 検査できる時期
クラミジア感染症 1~3週間 感染機会後すぐ~24時間以上
淋病 2~7日 感染機会後すぐ~24時間以上
性器マイコプラズマ 1~5週間 感染機会から24時間以上
性器ヘルペス 3日~10日 感染機会から24時間以上
HIV 2~4週間(場合によっては数年) 感染機会から2~4週間以上
梅毒 3週間~3カ月 3週間~3カ月
尖圭コンジローマ 3週間~3カ月 感染機会から3週間~3カ月
カンジダ 1日~数週間(場合によっては数年) 感染機会から24時間以上
B型肝炎 2週間~6カ月 感染機会から2~3カ月以上
C型肝炎 2週間~6カ月 感染機会から2~3カ月以上

実際の潜伏期間や検査可能時期は、個人によって異なります。

受診の時期に迷ったときは、医療機関に相談しましょう。

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男性の性病の発生動向

医師

近年、男女の梅毒患者の増加傾向がみられます。

男性の場合は、特に30代・40代での発症が目立ちます。

厚生労働省の発表によると、男性は20代後半から梅毒患者数が急増し始めます。

患者数は40代前半にピークを迎え、その後は減少に転じます。

しかし45歳以降の患者数をみると、女性は50人を切るのに対し、男性は50〜200人を維持しています。

つまり男性は、女性よりも高年齢層の梅毒患者が多いことが分かります。

なお、女性より男性の患者が多い性病は梅毒以外にもあります。

たとえば淋病・尖圭コンジローマなどです。

対して女性は、性器クラミジアや性器ヘルペスの感染が目立ちます。

淋病・尖圭コンジローマ・性器クラミジア・性器ヘルペスについては、患者数は近年ほぼ横ばいで移行しています。

一方、梅毒に関しては、2015年以降に患者が急激に増加しています。

性病は自然治癒することはほとんどないため、早めに治療を受けることが大切です。

なによりも、感染そのものを防ぐことを心がけましょう。

出典:厚生労働省「性感染症の発生動向と対策の現状

男性の性病の症状についてのまとめ

散歩

ここまで男性の性病の症状についてお伝えしてきました。
男性の性病の症状の要点を以下にまとめます。

  • 性病の可能性がある男性の症状は、性器のいぼ・痒み・痛みなどのほか、発熱や倦怠感など
  • 男性に多い性病は梅毒・尖圭コンジローマ・淋病などで、性器のかゆみ・痛み・湿疹といった症状があらわれることが多い
  • 潜伏期間は性病によって異なり、中には数十年発症しないものもある

これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。