そもそもおりものとは、子宮頚部、子宮内膜、膣から出る分泌物のことで、女性のからだを守るために必要なものです。
膣内部のうるおいを保ち、汚れを排出したり、外部からばい菌が侵入するのを防いだりする自浄作用があります。
また、排卵期には精子を受け入れやすい状態にし受精の手助けをしています。
おりものは、生理周期に合わせて量やにおいが変わり、個人差はありますが、生理前に量が増えにおいがきつくなる方が多いです。
本記事では生理前におりものが多い理由や生理前のおりものの特徴について紹介していきます。
ぜひ最後までお読みください!
生理前におりものが多いのはどうして?
おりものは、卵胞ホルモンと深く関係しており、卵胞ホルモンの分泌が多い排卵期や生理前は量が増えます。
生理後には卵胞ホルモンの分泌が増える卵胞期があり、排卵期以降は黄体ホルモンの分泌が増える黄体期になります。
従って、生理周期に合わせておりものの量やにおいも変化します。
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生理前のおりものの特徴
生理周期に合わせておりものも変化するので、生理予定日を推測するためにも、生理前のおりものの特徴を知っておきましょう。
白く濁っている
生理前のおりものは白く濁っていて、下着につくと黄色っぽく見えることもあります。
生理直前になるとおりものの量が増えます。
白濁したおりものの量が増えると、生理日が近づいていると推測できます。
粘り気がある
排卵日を過ぎてから生理前までの時期は、量は減っていきますが、どろっとした粘り気のあるおりものに変わっていきます。
下着をこまめに取り替えたり、おりものシートを利用したりしてデリケートゾーンを清潔に保ちましょう。
においがきつくなる
においにも個人差がありますが、おりものには通常から少し酸っぱいにおいがあり、生理前になるとそのにおいがきつくなってきます。
おりものが下着についたまま放っておくと、においがさらにひどくなったり生臭く感じたりすることもあります。
血が混じることもある
生理の数日前になると、おりものに少量の血液が混ざってピンク色になることがあります。
生理直後のおりものにも血液が混じることがありますが、生理前のおりものと比べて茶色っぽい状態です。
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おりものによっては受診が必要?
おりものの状態には個人差がありますが、普段と違うときは病気の可能性があるので、病院を受診しましょう。
膿のような黄緑色
黄緑色っぽいおりものの場合、淋菌に感染して淋病を発症している可能性があります。
淋病は性感染症で、膿のような状態で悪臭がしたり、排尿時に痛みがあったりします。
性行為のときにコンドームを使用したり、淋病の可能性がある男性との性行為を避けたりすることで予防できます。
白くぽろぽろしている
白くて酒粕やカッテージチーズのようなぽろぽろしたおりものの場合、膣カンジダを発症している可能性があります。
膣内のカンジダ菌が異常に増えて炎症を起こすのですが、かゆみがひどく痛みを感じることもあり、放っておくと完治が難しくなります。
ストレスや疲れ、ホルモンバランスの変化など、ちょっとしたからだの変調で膣カンジダになることがあるので、おりものの異常を感じたらすぐに病院を受診しましょう。
量が急激に増える
おりものの量が急激に増えた場合は、クラミジア感染症を発症している可能性があります。
クラミジア感染症は、日本で最も多い性感染症のひとつで、性行為などにより粘膜に感染します。
女性のクラミジア感染症は軽症な場合が多いですが、合併症や後遺症が重くなる可能性があるので、即座に治療する必要があります。
性行為のときにコンドームを使用し、定期的に検査を受けておくと感染を予防できます。
悪臭がして濃い茶色
悪臭がして濃い茶色のおりものの場合は、子宮頸がんの可能性があります。
ほかのがんに比べ子宮頸がんは、若い世代でも多く20代後半から急増しています。
子宮頸がんは、早期にはほとんど自覚症状がないので、おりものの異常を感じたらすぐに病院を受診しましょう。
自覚症状はありませんが、早期発見で治る可能性が高くなるので、定期的な検査を受けることをおすすめします。
泡状
泡状で悪臭がしたり、褐色や黄緑色であったりする場合は、トリコモナス膣炎の可能性があります。
主に性行為により感染し、肉眼では見えないくらいの原虫が、膣や子宮頸管、膀胱、尿道などに入り込んで炎症を起こします。
放っておくと不妊症になる可能性もあるので、病院を受診しましょう。
また、性行為のときにコンドームを使用したり、入浴のときに不衛生なものに性器が接触しないように気を付けたりすることで予防できます。
水っぽい
水っぽいおりものの場合は、子宮筋腫の可能性があります。
子宮筋腫とは、子宮の筋肉にできる良性の腫瘍のことです。
子宮筋腫の患者数は増加傾向にあり、不正出血や重い貧血などの症状がみられます。
生理痛や月経困難症などの症状を引き起こすこともあります。
すぐに治療をすることはありませんが、大きくなったり生活に支障が出たりすると、手術などの治療が必要になる可能性があるので定期的に検査が必要です。
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妊娠初期のおりものと生理前のおりものの違い
妊娠初期と生理前では、おりものの量や粘り気などが違います。
生理前の排卵期を過ぎると卵胞ホルモンの分泌が減るため、おりものの量も減っていきますが、妊娠していると卵胞ホルモンの分泌量が増えるため、おりものの量が増えやすいです。
また、生理前には粘り気のあるおりものが出ますが、妊娠しているとおりものはさらっとして粘り気がない状態になります。
また、着床出血という生理よりは少ない出血がある方もいます。
しかし、妊娠初期の症状と生理前の症状は似ているところも多くあるので、妊娠の可能性がある場合は、病院を受診しましょう。
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生理前のおりもの以外の症状
生理前は、黄体ホルモンの分泌が増えることで、おりもの以外にも身体に変化があらわれます。
情緒不安定になる
生理前になると情緒不安定になり、感情の起伏が激しくなることがあります。
PMDDと認識し自分を責めないことや、症状の出る時期や症状の強さを知っておくことは非常に重要になります。
どうしても症状が気になる場合は、病院で医師に相談し、精神安定剤などを処方してもらってもいいかもしれません。
ピルの服用でホルモンバランスを整えることでも、PMDDの症状は改善されます。
イライラする
生理前のイライラも、PMDDの症状のひとつです。
病気であることをしっかり理解しましょう。
症状がひどい場合は、病院を受診しましょう。
ピルを服用すると、PMDDの症状は改善されることが多いです。
集中力が低下する
集中力の低下も、PMDDの症状のひとつです。
仕事や学業への影響を減らすためにも、病気だと理解しましょう。
また、PMDDであることを周囲の方にも理解してもらい、仕事の予定を可能な限り調整してもらうことも大事です。
食欲が変化する
生理前になると食欲旺盛になるという女性は多いでしょう。
食べ過ぎて自己嫌悪に陥ったり、体重が増加しすぎたりしないように注意が必要です。
どうしても食欲が我慢できない場合には、量を減らしてこまめに食事をしてみたり、食事の内容をヘルシーなものにしてみたりすると、体重増加も防げます。
あまり自分を責めずに割り切って食べて、生理後に食事の調整をするのもいいかもしれません。
腹痛
生理前や生理中の腹痛は、経験したことがある女性は多いでしょう。
生理前の腹痛は、月経前症候群(PMS)の症状のひとつです。
PMSは生理によるホルモンバランスの変化が影響しているといわれています。
腹痛がひどくて生活に支障が出ている場合は、病院を受診しましょう。
ピルは、ホルモンバランスを一定に保つので、生理にかかわる諸症状を和らげてくれます。
腰痛
生理前の腰痛もPMSのひとつです。
子宮内膜のプロスタグランジンという物質が増え、子宮の血管が収縮されることで、腰に痛みを感じることがあります。
冷え性や血行不良をおこしている方は、プロスタグランジンの分泌が多いので腰痛になりやすいです。
生理前はお風呂にしっかりつかり血行をよくすると、腰痛が楽になるかもしれません。
胸が張る
生理前に胸が張るのは、黄体ホルモンの影響で、乳腺が張ったり乳腺と乳腺の間に水分がため込まれたりするためです。
胸が張って痛みがひどくなることもあり、PMSの症状のひとつです。
しかし、自分では改善できないこともあります。
胸の張りや痛みなどPMSの症状がひどい場合は、病院を受診しましょう。
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生理前の症状はピルで解決できる!
生理前のおりものに悩まれている方、頭痛や腹痛など体調不良を起こしやすい方は、ピルで症状を改善できるかもしれません。
ピルとは
ピルは経口避妊薬のことで、一般的には避妊のために服用する薬として知られています。
ピルは、エストロゲンとプロゲステロンという女性ホルモンが配合されていて、服用することでホルモンバランスの変動を抑えてくれます。
ホルモンの配合量によって、中量用ピル、低用量ピル、超低用量ピルに分けられ、目的や体質に合わせて服用します。
ピルの飲み方
1日1錠を毎日同じ時間に服用します。
28錠で1シートになっていることが多く、28錠のうち7錠はプラセボです。
プラセボがない場合は、7日間は薬を飲みません。
ピルは生理前の症状を緩和してくれる
生理前にイライラしたり身体がだるくなったりする症状を、PMSといいます。
また、生理中の腹痛や腰痛、倦怠感などの症状を、月経困難症といいます。
PMSや月経困難症は、ピルで改善することができます。
ピルによって女性ホルモンを体外から取り入れることで、体内での女性ホルモンの分泌が抑えられます。
その結果、ホルモンバランスが保たれ、症状が軽くなるのです。
しかし、服用するピルの種類や、PMSや月経困難症の内容によっては、効果があまりなかったり改善しなかったりすることもあります。
病院で診察してもらってから、適切なピルを処方してもらうことが大事です。
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おりものは増えているのに生理は来ないこともある?
おりものが増えて生理予定日がきても生理がこないと、不安になりますよね。
生理がこない原因を考えてみましょう。
妊娠している
生理予定日になっても生理がこない場合、妊娠している可能性があります。
妊娠するとおりものの量が増えるので、生理直前の症状と似ているので間違える方もいるかもしれません。
妊娠初期の症状は、ほかにも生理前と似ている症状があります。
妊娠の可能性がある場合、妊娠検査薬で検査するか、病院を受診しましょう。
生理周期が不順
健康な方だと生理周期はだいたい定まっていますが、毎回ピッタリ同じ日数ということはないですよね。
正常な状態でも、生理予定日の前後6日程の変動はあります。
生理予定日から1週間以上過ぎても生理がこないときは生理不順の可能性があります。
ホルモンバランスが乱れているということになり、放っておくと妊娠しにくくなったり、更年期のような症状が早く出たりします。
生理周期が安定していない場合は、ホルモンバランスが乱れたままの状態になっているので早めに病院を受診しましょう。
無月経
無月経には2種類あります。
18歳になっても生理がこない原発性無月経と、今まできていた生理が3ヵ月以上こない続発性無月経です。
生理が3ヵ月以上こない場合は、病院を受診しましょう。
早期閉経
1年以上生理がこなかった場合、閉経したと考えます。
平均的な閉経年齢は50歳ですが、40歳以下でも閉経の症状が見られることがあり、早期閉経といいます。
早期閉経と診断された場合は、平均的な閉経年齢までホルモン療法などで治療を続けます。
過度なダイエット
過度なダイエットで体重が急激に減ったとき、生理がこないことがあります。
体重が急激に減ると脳の「視床下部」が身の危険を感じ、身体に負担の大きい生理や妊娠などが起きないように女性ホルモンの分泌を止めてしまいます。
生理周期を正常な状態に戻すには、体重を増やし元の状態にすることです。
きれいになるために痩せようと努力するのは素敵なことですが、健康が最優先です。
食事方法やダイエット方法を見直して、ゆっくりと体重を増やすことが大事です。
過度なストレス
過度なストレスが身体にかかると、ホルモンバランスが乱れ生理がこないことがあります。
ストレスがある場合は、なかなか寝付けなかったり食欲が低下したりとほかにも症状があらわれます。
ストレスの原因が分かっている場合は、その原因をとりのぞきましょう。
仕事や環境の変化などで疲れている場合は、少し身体を休めてゆっくりするのもいいです。
生理が遅れることが続いたときは、ほかの病気の可能性もあるので病院を受診しましょう。
甲状腺の異常
甲状腺に異常があり甲状腺ホルモンの分泌に乱れがあると、女性ホルモンにも影響し、生理がこないことがあります。
甲状腺の病気には、バセドウ病や橋本病、腫瘍などがあります。
病気が完治し甲状腺ホルモンの分泌が正常になると生理も正常になります。
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生理の習い方と生理治療への影響について
日本での性教育が生理への理解が足りていない原因のひとつになっています。
生理で悩んでいる方の現状について考えてみましょう。
日本の性教育事情
日本の性教育は、30年ほど前からほとんど変わっていません。
先進国のなかでは、日本の性教育はもっとも遅れているといわれています。
2009年にユネスコが世界保険機関などとともに作成した「国際セクシュアリティ教育ガイダンス」では、性教育の開始年齢が5歳となっています。
世界の多くの国では、ユネスコのガイダンスをもとに性教育に積極的に取り組んでいます。
現在の日本での性教育は、小学校高学年から始まります。
学ぶ機会が遅いと、知らないうちに性感染症や性犯罪に巻き込まれるかもしれません。
学校だけに頼らず、家庭でも年齢に合わせて身体のしくみや性について教えるといいです。
生理の話を気軽にできない
学生時代に性教育を受けた時、男女別で受けていた方も多いのではないでしょうか。
そのため、女性は生理は恥ずかしいことなので大きな声で話してはいけない、男性は生理についてほとんど知らないという状況ができてしまったのです。
生理について悩みがあるときも気軽に話せず、周囲の方になかなか相談ができません。
そうすると、病気への治療が遅れ、生理の諸症状に長い間悩まされることになります。
生理は決して恥ずかしいことではないので、悩んでいるときは近くの大人に相談し、病院を受診しましょう。
ピルの認知度
PMDDやPMSの改善には、ピルの服用が有効です。
しかし、日本ではピルの服用率は2,9%と先進国ではかなり低いです。
日本人のピルの服用率が低い原因のひとつは、入手が難しいことにあります。
世界では、低用量ピルであればドラッグストアで購入できます。
日本では病院で処方されないと入手できないため、ハードルが高いと感じる方も多いです。
また、性教育の遅れや男性主導の避妊が一般的であることから、ピルの認識度が低いのも服用率が低い原因と考えられます。
ピルで生理治療をすることは、女性の社会進出を手助けし、社会でのパフォーマンスを向上させることにつながります。
PMDDやPMSで悩んでいる方は、勇気を出して病院を受診してみましょう。
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生理前のおりものに関するよくある質問
生理やおりものについて分からないことはたくさんあります。
よくある質問をまとめてみたので参考にしてみてください。
1週間生理がこないのは大丈夫ですか?
ただし、1週間以上生理が遅れている場合は注意が必要です。
妊娠の可能性がある場合は、妊娠検査薬や病院を受診して調べましょう。
生理不順や何らかの病気の可能性もあるので、ためらわず病院を受診するべきです。
生理についてどこに相談すればよいですか?
厚生労働省監修の「女性の健康推進室」ヘルスケアラボのHPでは、生理や女性特有の身体の悩みについて多く紹介されています。
個人で判断するのは危険なのでやめましょう。
また、生理やホルモンバランスが正常でない状態が長く続くと、不妊や婦人科系の病気につながる可能性もあるので、早めに病院を受診するべきです。
出典:厚生省ホームページ「女性の健康推進室」 ヘルスケアラボ
おりものが減っているということは生理がこないということですか?
しかし、これは一般的な話で、生理やおりものには個人差があります。
生理周期に合わせたおりものの変化については、目安としてとらえましょう。
一般的な変化と違うからといってすぐに病気を疑う必要はありません。
おりもの以外の症状や体調の変化に気をつけて、不安になることでストレスをためないようにしましょう。
おりものにはどんな役割があるのですか?
また、排卵期には精子を受け入れやすい状態にして、受精の手助けをしてくれます。
おりものは、女性の身体を守り妊娠するために、大事な役割をになっています。
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生理前のおりもののまとめ
ここまで、生理前のおりものの変化や、おりものの状態に合わせた対処法について解説してきました。
本記事のポイントは以下の通りです。
- 排卵期から生理前にかけておりものの量は減り、生理直前に量が増える
- おりものの状態で身体の状態がわかることがあるので普段から観察しておく
- 生理やおりものについて悩みがあるときは病院を受診する
これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。
最後までご覧いただきありがとうございました。