第6回:麻疹(はしか)

メディア等で連日報道されておりますように、現在沖縄県で麻疹(はしか)の流行が起こっています。 今回のテーマは麻疹(はしか)です。

麻疹とは

「はしか」の正式な病名は「麻疹(ましん)」です。
麻疹ウイルスに感染することによる急性の全身感染症で、毎年春から初夏にかけて流行します。感染経路は、空気中に含まれるウイルスを吸い込むことによる「空気感染」です。感染している人の咳やくしゃみなどに含まれるウイルスを吸いこむ「飛沫感染」や、手指や食品などについたウイルスが口から体内に入る「接触感染」によっても感染します。

麻疹ウイルスは感染力が非常に強く、どんなに広い場所(体育館やコンサートのようなイベント会場など)でも、免疫をもっていなければ、同じ空間にいるだけで感染してしまいます。周囲に感染させてしまう期間は、症状が出る1日前から解熱したあと3日くらいまでとされているため、この期間は注意が必要です。

麻疹の症状

麻疹は、麻疹ウイルスに感染してから10~12日間の潜伏期間を経て、熱や咳、鼻水など風邪のような症状、目の充血の症状などから発症します。その後、前駆期(カタル期2〜4日間)→発疹期(3〜5日間)→回復期の経過をたどり、重症化しなければ、症状が現れてから7~10日で回復していきます。

麻疹の治療

はしか(麻疹)に対する特別な治療方法はありません。高熱に対しては解熱剤を使うなど、つらい症状を和らげる対処療法となります。合併症がある場合は、応じた治療を行います。

麻疹の予防

麻疹ウイルスはとても小さく、非常に感染力が強いため、マスクや手洗いでは完全に予防することはできません。唯一の有効な予防法は、ワクチンの予防接種で麻疹ウイルスに対する免疫を獲得することです。

はしか(麻疹)の予防接種は、以下のように定期接種の対象になっています。

ワクチンの種類:
麻疹・風疹混合ワクチン(MRワクチン)または麻疹ワクチン

接種回数: 2回
対象年齢:1回目: 1歳。2回目: 5歳以上7歳未満 かつ 小学校就学前

注意

1977年〜1990年生まれの方は追加接種が推奨されています。
理由としては日本では過去麻疹が流行したことがあり50歳以上の人は感染し抗体を持っていますが、1977年〜1990年生まれの方は麻疹ワクチンが定期接種1回打ちで(現在は2回打ち)免抗体価が低下している可能性があります。1990年以降は麻疹ワクチン(MRワクチン)2回定期接種で抗体価があると判断されます。

※以下①~⑥に合致する方は麻疹風疹混合(MR)ワクチン接種をすることができませんのでご注意ください。
①発熱している方(通常 37.5℃以上)
②重篤な急性疾患にかかっている方
③過去にMRワクチンに含まれている成分でアナフィラキシーをおこしたことがある方(アナフィラキシーとは、通常、ワクチン接種後30分以内にあらわれるアレルギー反応で、汗がたくさん出る、顔が急に腫れる、全身にひどいじんましんが出る、吐き気や嘔吐、声が出にくい、息が苦しいなどの症状や、ショック状態になるような、はげしい全身反応がみられます。)
④免疫機能に異常がある方、免疫を抑える可能性がある治療を受けている方
⑤妊婦(妊娠可能な人がこのワクチンの接種を受ける場合、接種後約2ヵ月間は避妊が必要です。)
⑥上記以外に医師が予防接種を行うことが不適当な状態にあると判断した方