小児ネフローゼ症候群とは?
腎臓の中の糸球体が障害を受け、尿中にタンパク質が漏れ出てしまう病気です。通常よりもタンパク質が尿中へと排出されるため、体がむくむという特徴があります。
年間10万人のうち2〜5人程度の発症率で、ほとんどステロイド療法により寛解しますが、約60%の患者は一度は再発を経験するというデータもあるほど長期的に付き合っていく必要のある病気です。
小児ネフローゼ症候群の原因は?
小児ネフローゼ症候群の約90%は原因不明な「特発性ネフローゼ症候群」と呼ばれるもので、そのうち約90%が「微小変化型ネフローゼ症候群」というものに区分されます。
微小変化型ネフローゼ症候群の原因は、何らかの免疫異常によるものだと考えられています。
小児ネフローゼ症候群で現れる症状は?
次のような症状が現れます。
● 短期間で体重が増える
● 陰嚢に水が溜まる
● 体全身がむくむ
● おしっこの量が減る
● 顔色が悪く、ぐったりしている
● 食欲がない
小児ネフローゼ症候群は重症化して感染症や血栓症などの合併症を引き起こす可能性があるので、むくみなどの気になる症状が見られたら早めに小児科を受診するようにしましょう。
小児ネフローゼ症候群の検査方法は?
尿検査の結果、「高度蛋白尿」、血液検査の結果「低アルブミン血症(低蛋白血症)」と認められた場合は、ネフローゼ症候群の疑いが高くなるので、腎臓の組織を採取する腎生検を行い確定診断を行います。
しかし、小児ネフローゼ症候群の中でも最も発症例が多い「微小変化型」の90%以上はステロイドによる効果が期待できるため、一般的には腎生検を行わずにステロイド療法を行います。
また、次のような場合は微小変化型以外のタイプの可能性があるため、腎生検を行ってネフローゼ症候群のパターンを特定した上で治療を行います。
● 発症時に1歳未満である
● 高血圧や腎機能低下などが認められる
● 血尿が認められる場合は
小児ネフローゼ症候群の治療方法
ステロイド療法と食事療法を同時に行います。初めて小児ネフローゼ症候群を発症した場合は、ステロイド療法の副作用に注意するため、2ヶ月程度入院して治療を行うことが一般的です。
ステロイド療法
ステロイドを服用することで治療を行います。1ヶ月程度で蛋白尿は陰性になりますが、急激にステロイドの服用をやめると返って症状が悪化することがあるので、容量は徐々に減らしていく必要があります。
ステロイドをの効果が出るまでむくみがひどい場合は、利尿薬を使用することもあります。
食事療法
むくみがひどい場合は、塩分をできるだけ控えた食事内容に変更して、塩、しょうゆ、ソースなどの使わない栄養バランスの取れた食事を行います。
大人のネフローゼ症候群の場合はタンパク質の摂取制限も推奨されることがありますが、小児の場合は特に制限をする必要はないと考えられています。
小児ネフローゼ症候群の自宅でのケア方法
2ヶ月程度の入院が終わったあと、自宅での生活でも気をつけたいことがあります。
感染症を予防する
ステロイドを服用することで、風邪や、水疱瘡などの感染症にかかった場合に重症化しやすくなっています。
外出する際は人混みを避け、マスクを着用する、外出から帰ってきたら手洗いうがいを習慣づけることで感染症の予防を行いましょう。
適度に運動する
ステロイドを長期的に服用すると、肥満のリスクが高まったりするため適度に運動することが必要です。
小児ネフローゼ症候群の再発の可能性は?
小児ネフローゼ症候群は一度発症すると、再発を繰り返し長期的に治療を行う必要がある病気です。
しかし、正しく治療を続けると重症化を抑えることができるため、子供の様子に気を配りながら根気強く治療することが大切です。
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