溶連菌感染症とは?
溶連菌感染症とは、「A群β(ベータ)群溶血性連鎖球菌(溶連菌)」という細菌の感染が原因で起こる病気の総称です。
くしゃみや唾液の粒子による飛沫感染によって、幼児や就学児の間で感染が広がりやすい病気ですが、体調不良などで免疫力が低下している大人も感染することがあります。
溶連菌感染症の症状は?
溶連菌感染症にかかると、38度以上の発熱、頭痛、喉の痛み、食欲不振など通常の風邪様の症状に加えて、喉が腫れ、舌の表面に赤いブツブツが生じる「イチゴ舌」になることが多いです。
発熱から1~2日後に全身にかゆみを伴う赤い発疹が生じることがありますが、通常は1週間ほどで発疹の増加は治まり、その後手足の皮膚がポロポロと剝けることて皮膚がきれいな状態へと戻ります。
ただし、治療をきちんと行わない場合は、「糸球体腎炎」や「リウマチ熱」などの合併症を引き起こす可能性があるので注意が必要です。
検査を受けるタイミングは?
溶連菌感染症は重症な合併症を引き起こす可能性があるため、「イチゴ舌」など溶連菌感染症を疑うような症状が現れれば一度病院を受診して検査してもらいましょう。
通常検査は病院で行う必要がありますが、往診を利用して自宅で検査をすることも可能です。
溶連菌感染症の検査方法は?
溶連菌に感染しているかどうかを検査・診断するには次のような方法があります。
咽頭培養検査
綿棒などで患者の咽頭粘膜を採取して培養した検体を使用して溶連菌に感染しているか判断する方法です。
溶連菌以外の細菌の感染も同時に検査することができる一方で、検査結果がでるまで数日〜1週間程度時間がかかるデメリットがあります。
溶連菌迅速診断キット
咽頭培養検査と同様に綿棒で咽頭粘膜を利用して検査を行います。検査の精度が約80%と完璧ではありませんが検査結果が5分ほどでわかるという手軽さから、主に病院で検査する場合に使用されます。
血清抗体検査
リウマチ熱や急性糸球体腎炎を合併している場合は、咽頭培養により溶連菌を検出できないため、溶連菌が発生する毒素や酵素に対する抗体の数値を計測することで感染を検査する「血清抗体検査」を行います。
溶連菌に感染していない人にもまれに陽性の反応が出るデメリットもありますが、検査結果は約30分程度でわかる手軽さが特徴です。
溶連菌感染症の検査費用は?
検査を受ける患者の状態を踏まえた医師の判断と、受診する病院によって検査費用は異なるので、気になる方は受診前に一度確認してみましょう。
病院で検査を受ける場合は、小児科、内科、耳鼻科を受診して下さい。
溶連菌感染症の疑いがある場合
医師が患者の症状から検査する必要があると判断した場合は、健康保険が適応されます。
病院によって費用は変わりますが、3割負担の場合は約1,000円程度の検査費用が必要です。
溶連菌感染症の疑いがない場合
自主的に溶連菌感染症の検査を行う場合は、基本的に健康保険が適応されず自費にて検査を受ける必要があります。
病院によって費用は変わりますが、約3,000円程度の検査費用が必要です。
溶連菌感染症の治療は?
溶連菌感染症と診断された場合は、医師により7~10日分の抗菌薬が処方されます。抗菌薬を服用して1週間以内には発熱や喉の痛みなどの症状が治まりますが、処方された薬は最後まで飲み切るようにして下さい。
薬を飲みきらない場合は症状が悪化して、「糸球体腎炎」や「リウマチ熱」など合併症を生じる可能性もあるので、必ず処方された薬は飲み切るようにしましょう。
また薬を飲む以外に症状を楽にする方法はいくつかあります。
水分補給をこまめに行う
発熱しているときは汗をかきやすく、普段よりも体から水分が失われているために、脱水症状を防ぐためにもこまめに水分を補給するようにしましょう。
飲み物はできるだけ常温で、塩分と水分を同時に補給することができる経口補水液などがおすすめです。
喉を乾燥させないようにする
乾燥した空気や冷たい空気を吸い込むことで喉の粘膜が刺激されるために咳が出やすくなります。
特に空気が乾燥しやすい冬場は、濡れタオルを部屋に吊るしたり、加湿器を使うことで湿度を保つようにしましょう。また外出する際はマスクをつけると乾燥した空気や冷たい空気を直接吸い込むことを防げますよ。
体をきれいにする
発熱して汗をかいた場合はこまめに汗を拭くようにします。体調が良い場合は入浴しても構いませんが、短時間で汗を流す程度にして下さい。
また、汗をかいている時は口の中が乾燥して炎症が起きやすい状態なので、食事の後は口の中もきれいにしましょう。
溶連菌感染症の予防法は?
溶連菌感染症は万が一感染すると、学校や保育園に登校・登園できなくなることもある感染症です。感染しないためにも、日々睡眠や食事をしっかり取ることで体調を整えて免疫力をつけておき、手洗いうがいをこまめに行うことが大切です。