熱性けいれんとは?
熱性けいれんとは、38度以上の発熱とともに全身のけいれんが起こる病気です。風邪やインフルエンザ、はしかといった感染症で熱が上がってから12時間以内に発症することが多く、手足を硬直させてガクガクとけいれんするのが特徴です。ほとんどの場合、10分以内におさまります。
熱性けいれんは、生後3ヶ月〜5歳頃までの乳幼児期によく見られます。この時期の子供は脳が未熟なため、高熱のストレスによって脳内にトラブルが発生して起こるのではと考えられていますが、けいれんが起きるメカニズムについては、まだはっきりと解明されていません。
子供は熱性けいれんを起こしやすい?
子供は大人に比べて、けいれんの発作を起こしやすい傾向があります。なかでも熱性けいれんの日本国内での発症率は7~10%だといわれています。
熱性けいれんを起こしやすい子の特徴は?
熱性けいれんを経験した子供のうち、2回経験しているのは25~50%(平均30%)は2回、3回以上は9%という調査結果があります。半数以上は1回しか発症しません。
熱性けいれんを起こしやすい(再発しやすい)要因として、以下のようなことがあげられます。
● 両親またはどちらかの親に熱性けいれんの経験がある
● 初めて発症した年齢が1歳未満
また、男女によっても発症の傾向に違いがあり、男子のほうが女子より1.4倍ほど発症しやすい一方で、再発率は女子のほうが高いといわれています。
子供の熱性けいれんで病院へ行く目安は?
しばらく様子を見る
けいれんが5分以内に治まり、意識も戻った場合はしばらく様子をみます。初めて熱性けいれんが起きたときは、診療時間内に病院を受診しましょう。
すぐに病院へ行く
以下のような症状が出ている場合は、迷わず救急車を呼んだほうがよいでしょう。
● けいれんが15分以上続く
● けいれんが5分以内に治まるが、24時間以内に再発する
● けいれんが5分以内に治まるが、意識が戻らない
● けいれんが左右非対称
● 顔が真っ青でチアノーゼを起こしている
熱性けいれんを起こしやすい子が注意するべき症状は?
熱性けいれんを起こした際、以下のような症状が見られる場合は、てんかんの可能性が疑われるため、脳波の検査が行われることもあります。
● 発作が1日のうちに2回以上起きる
● けいれんが左右非対称
● 発作後の意識の戻りが悪い
● 37.5度程度の微熱での発作がある
また、脳波の検査が推奨される症状には下記のようなものもあります。
1. 最高体温が38度未満
2. 初めての発作が生後6ヶ月~3歳の期間に入らない
3. 過去に熱を伴わないけいれんを起こした
4. 発作を3回以上起こしている
5. 24時間以内に2回以上の発作がある
6. 発達異常がある
7. 発作が15分以上続いている
8. 発作が終わっても意識が回復しない
9. 家族にてんかん患者がいる
子供が熱性けいれんを起こしたり繰り返したりしていて、上記の条件に1つでも当てはまる場合は、すぐに病院を受診してください。
熱性けいれんを起こしやすい子の対処法は?
熱性けいれんが起こったときは、まず時計を確認し、「けいれんが続いた時間」と「けいれんが治まってから意識が戻るまでの時間」を計ってください。
また、時間を計測すると同時に以下の手順で応急処置を行ってください。2回目以降の発作でも初めての発作でも対処法は同じです。
1. 慌てず、心を落ち着かせる
2. 服をゆるめる(特に首回り)
3. 頭の位置を体より少し低くして仰向けに寝かせて、顔を横向きにして頭を少し反らせる
4. 口のまわりや鼻の穴が汚れていたらガーゼで拭き取る
熱性けいれんで子供が意識をなくすと、つい大声で呼びかけたり激しく揺さぶったりしてしまいがちですが、かえって症状を悪化させてしまうためやめましょう。また、口の中にものを入れないようにしてください。誤飲や窒息死につながる可能性があります。
体温が測れる場合は測っておくと、病院で診断を受ける際の参考になります。