子どもの急性胃腸炎の原因は?
医学的には下痢症状のことを急性胃腸炎と呼び、吐き気や腹痛、下痢など一過性の胃腸疾患をいいます。
ウイルス性胃腸炎
急性胃腸炎のうち約70%をロタウイルスやノロウイルス、アデノウイルスなどに感染するウイルス性胃腸炎が占めます。
吐瀉物や便とともに排出されたウイルスが指などを介して食物と一緒に体内に入って感染する経口感染と、ウイルスに汚染された食材を加熱不十分で食べて感染するケースがあります。
細菌性胃腸炎
食中毒とも呼ばれる細菌性胃腸炎は約15%を占め、細菌が増殖した食物や加熱が不十分の卵や肉などを食べて感染します。
その他
また、薬の副作用やアレルギーでも胃腸炎を引き起こすことがあります。
子どもの急性胃腸炎の症状は?
おもな症状は嘔吐や下痢、発熱ですが、血便などの症状が見られることもあります。症状は5〜8日ほど続きますが、嘔吐は数日で治まることが多いです。
ウイルス性胃腸炎
2〜3日の潜伏期間を経て、発熱や嘔吐、下痢の症状が現れます。
細菌性胃腸炎
半日〜3日の潜伏時期を経て、発熱や嘔吐、下痢、そして腹痛を併発することが多く、血便も見られます。
子どもの急性胃腸炎で病院へ行く目安は?
しばらく様子を見る
子どもに嘔吐や下痢の症状が出ても、元気があって水分補給ができていれば、慌てずに様子を見て、診療時間中に一度、病院を受診しましょう。
すぐに病院へ行く
以下のような症状が見られる場合は、すぐに病院を受診しましょう。夜間や休日であれば、救急病院や往診を利用するとよいでしょう。
● ぐったりしてる
● 呼吸が苦しそうで顔色も悪い
● 水分補給が十分できず、おしっこも出ていない
● 38.5度以上の発熱が見られる
1歳未満の赤ちゃんが白色の下痢をしているとき、生後3か月未満の赤ちゃんで38度以上の熱が出ているときは、すぐに病院を受診するようにしましょう。
子どもの胃腸炎で考えられるほかの病気は?
ごくまれに、子どもの胃腸炎には以下のような病気が潜んでいる場合もあります。症状が見られたら、すぐに病院を受診しましょう。
腸閉塞
何らかの原因によって腸管の通過が悪化している状態です。お腹が張る、腹痛、吐き気・嘔吐、おならや便が出ないなどの症状があり、血便や脱水症状も見られます。
腸重積
腸の一部が腸の中に入り込んでしまう病気で、2歳くらいまでの子どもの発症率が高く、とくに生後6か月前後の赤ちゃんに多く見られます。
腹痛や嘔吐を繰り返し、お腹にソーセージ状のしこりが感じられます。また、いちごジャム状の血便も見られることがあります。
子どもが急性胃腸炎のときの対処法は?
こまめな水分補給を
下痢が続くと脱水症状になることもあります。水分と塩分を同時に摂れる経口補水液などをこまめに補給しましょう。冷たい飲料は下痢を悪化させることもあるので、常温がおすすめです。
【自家製経口補水液の作り方】
1.砂糖40gと食塩3gを湯冷まし1Lに入れてよく溶かす
2.よくかき混ぜて飲みやすい温度まで冷まし、レモンやグレープフルーツなどの果汁を加える
体を清潔にする
下痢がついたところをそのままにしておくと、かぶれの原因になります。便をしたあとは、温かいシャワーや座浴できれいに洗い、おしりをつねに清潔に保ちましょう。
薬について
下痢や嘔吐は、ウイルスや細菌を排出するための生体防衛反応です。自己判断で薬を飲ませることは避け、病院を受診して医師の判断を仰ぎましょう。
家庭内での感染予防は?
子どもの嘔吐や下痢中にウイルスや細菌が含まれる可能性があるため、家庭内での感染拡大を防ぐためにも、汚物を処理する際は使い捨てのマスクや手袋を身につけ、飛び散っている箇所はペーパータオルなどで拭き取りましょう。
飛び散っていた箇所をハイターなどの塩素系消毒剤を200ppmに薄めた消毒液で拭くのも効果的です。拭き取った吐瀉物や汚物、消毒時に使用した手袋などはまとめてビニール袋に入れ、密閉して捨てましょう。
また、こまめな手洗いやうがい習慣、十分に加熱した食事を摂って感染予防を徹底しましょう。
子どもが急性胃腸炎のときの登園のめどは?
厚生労働省の「保育所における感染症対策ガイドライン」では、ウイルス性胃腸炎の場合の登園目安を「嘔吐、下痢等の症状が治まり、普段の食事がとれていること」と定めています。嘔吐や下痢などの症状が完治していて、普通食が食べられるようになったら登園・登校してもよいでしょう。
ただし、症状が治まっても14日前後は便と一緒にウイルスが排出されます。他の子への感染拡大を予防するためにも、園や学校にはウイルス性胃腸炎に感染していたことを伝えてください。