貧血とは|原因や症状、検査方法、治療法、対処法

貧血とは?

貧血とは、血液中の赤血球数や、赤血球の中で酸素を運搬する役割のあるヘモグロビンの量が正常よりも少ないため、体中の組織へ十分な酸素量が届けることができていない状態です。

貧血の原因は?

貧血の原因は、大きく分けると3種類に分類することができ、それぞれ特徴的な病名の貧血が知られています。

赤血球の産生能力低下

赤血球を作成するために必要な鉄や葉酸・ビタミンB12が不足することや血球が作られる骨髄の機能低下が原因で次のような貧血が生じます。

鉄欠乏性貧血

女性に多く見られる病気で貧血の約9割を占めるといわれており、次のような理由で鉄が欠乏します。

● 偏食やダイエットなど鉄摂取量の不足
● 鉄の消化・吸収機能の阻害
● 成長や妊娠、過度なスポーツなど鉄の利用増加
● 月経や消化管出血など鉄の排出増加

巨赤芽球性貧血

赤血球の生成に必要な葉酸やビタミンB12が不足することで貧血が生じます。

葉酸の不足は偏食家、妊婦や悪性腫瘍、アルコール中毒者に起きやすく、ビタミンB12不足は偏食家やビタミンB12の吸収を促進する機能のある胃を切除した人に起きやすいという特徴があります。

赤血球が破壊される量の増加

体で作られた赤血球が破壊されることで貧血が生じます。赤血球が破壊される原因は、次のようなものがあります。

急性白血病

骨髄内に存在する赤血球、白血球、血小板などの血液細胞が、がん化して正常に機能しなくなるために貧血が生じます。

再生不良性貧血

何らかの理由で白血球の一種であるTリンパ球ががん化し、血液細胞や血液細胞を生成する造血幹細胞も攻撃することで赤血球を破壊し貧血が生じます。

多発性骨髄腫

形質細胞といわれる白血球の一種の細胞ががん化して、赤血球を生成する骨髄内で増殖することで赤血球の生成を阻害するために、貧血が生じます。

溶血性貧血

赤血球が壊れやすくなるために貧血が生じます。溶血性貧血は遺伝により生じる先天性溶血性貧血と、何らかの原因で免疫反応により作成された自己抗体により赤血球が破壊されてしまいます。

骨髄異形成症候群

何らかの理由で造血幹細胞の遺伝子に異常が生じることで正常な血液細胞が作ることができなくなるため貧血が生じます。

出血

外傷や手術、消化器がんや潰瘍からの出血などが原因として考えられます。

貧血の症状は?

貧血の主な初期症状は、疲労感、倦怠感、顔面蒼白、運動時に動機や息切れです。

それ以外の症状は病気によって少しずつ変わりますが、鉄欠乏性貧血では、爪が割れやすい、髪が抜ける、唇や舌の炎症、肌が荒れるというな症状が見られます。

貧血の検査を受けるタイミングは?

貧血は症状が出てくるまでは検査をしないと見つけにくい病気ですが、次のような症状が長期間見られる場合は一度病院を受診するようにしましょう。

● 疲れやすくなった
● だるさを感じやすくなった
● 顔色が悪い

貧血の診断・検査方法は?

貧血は血液検査の項目のうちの1つであるヘモグロビン濃度(血色素量)がWHOの基準(成人男性は13.0g/dl未満、成人女性と小児は12.0g/dl未満、高齢者は11.0g/dl未満)や、赤血球数や全血液量における赤血球数の割合など総合的に判断されます。

検査の結果貧血を起こしていると判断された場合は、貧血を引き起こしている原因疾患を明らかにするために、詳細な血液検査、内視鏡検査、骨髄検査、遺伝子検査など詳細な検査を行います。

貧血の治療法は?

貧血の原因となる病気によって治療法が異なります。

鉄欠乏性貧血

鉄剤を服用することで症状は改善しますが、症状が治まった後も2〜3ヶ月程度は薬の服用を続けないと貧血が再発するので注意が必要です。

また鉄剤の服用中は鉄分の作用で便が黒くなることがありますが、問題はありません。

巨赤芽球性貧血

ビタミンB12が不足している場合はビタミンB12を補給します。また葉酸が不足している場合は葉酸を補給することで症状が緩和されます。

しかし、胃を摘出している場合は一時的な服用ではなく、長期的に栄養素を補給する必要があります。

それ以外の貧血

消化器のがんや潰瘍が生じて出血している場合や、造血幹細胞ががん化しているは手術を行う必要があります。

それ以外に急性白血病や多発性骨髄腫、溶血性貧血、再生不良性貧血などが原因で生じている貧血は輸血や免疫抑制剤の服用や抗がん剤、造血幹細胞の移植などの専門的な治療を行います。

貧血の予防法は?

最も発生頻度の高い鉄欠乏性貧血はバランスの取れた食事を摂ることで、ある程度予防することが可能です。女性のうち、特に妊娠中の方や授乳中の方は特に栄養を取ることで貧血の予防を行いましょう。